火災保険って自分で選んだことがありますか。私はない。正確に言うと12年間一度もなかった。
入居契約したときに、管理会社から「これに入ってください」と言われてそのまま契約した。更新のたびに案内の書類と電話がきて、そのたびに何も考えずに更新していた。中身をまともに見たこともない。それが当たり前だと思っていたし、そもそも疑問にすら思っていなかった。
12年…。一度も中身をよく確認せずにお金を払い続けていた。自分でもよくそんなに放置できたなと呆れてしまう。
この記事は、そんな私が火災保険を見直して別の保険に乗り換えた話で、同じように「管理会社に言われるまま入っている」人への何かのきっかけになればと思う。
きっかけはスマホの見直し

数年前から生活費全体を見直し始めた。
50代に入って、これから先のお金のことを少し真剣に考えるようになり、バリバリ稼ぐというより無駄を削いでいきたい。そういう年齢なんかもしれない。
まず手をつけたのがスマホで、大手キャリアから安めのSIMへ。次にケーブルテレビの契約内容、それからネット回線、生命保険…。ひとつひとつ確認していくと「なんとなく払っていたもの」が意外と多いことに気づく。
そうやって固定費をひとつずつ潰していく中で、ふと思い出した。
「火災保険、調べたことないな」
毎年というか2年ごとに更新しているのに、いくら払っているかも、何が補償されるのかも、正直わかっていなかった。これはまずいんじゃないか、そう思って調べ始めた。
調べてみてまず驚いたことがある。賃貸の火災保険は自分で選んで契約できるのだ。管理会社に指定された保険に入り続ける義務はない。一般的には借家人賠償などの必要な条件さえ満たしていれば、自分で好きな保険を選んでいいらしい。
知らなんだ。完全に管理会社が出してきた紙にサインするものだと思い込んでいた。
確かに私の契約書には指定の火災保険があるとかそんなこと書かれていない。なので、どこの火災保険でもいいのだろうと解釈できる。
そしてもっと驚いたのが、金額の差だった。
12年間で払っていた金額を計算してみた

私が入っていたのは三井住友海上の火災保険で2年ごとに15,800円を払っていた。年間にすると7,900円だ。
これを12年間払い続けてきたわけだから、単純計算で約94,800円。
一方、ネットで自分で選べる賃貸向けの火災保険を調べてみると、年間3,500円〜4,000円程度のものがゴロゴロある。2年で8,000円ほど。仮に12年なら48,000円だ。
差額は約46,800円。
この数字を見たとき、正直な気持ちは複雑だった。
12年で46,800円という数字そのものは「まあ、そんなもんか」とも思う。1年あたりにすれば4,000円弱の差で、それで生活が破綻するわけでもない。
でも問題は金額じゃない。知らなかっただけで必要のないお金を払い続けていた。その事実がなんか悔しい。
これは自分だけの話じゃないと思う。世の中の賃貸住まいの人の多くが管理会社に言われるまま、相場より高い保険に入っているんじゃないか。そして管理会社や不動産会社は、その仕組みの中でしれっと手数料を得ているんじゃないか。
別に誰かが違法なことをしているわけではない。ちゃんとした補償のあるまっとうな保険だ。
でも「知っている人は安く済ませて、知らない人は高く払い続ける」という構造があるのは間違いない。なんだかなあ、という気分になった。
どの保険にするか、3社を比べてみた

せっかく自分で選ぶのだから、ちゃんと比較することにしてみた。
ネットで完結できる賃貸向け火災保険として候補に挙がったのは、主に次の3つだった。
- 日新火災「お部屋を借りるときの保険」(東京海上グループ)
- Mysurance「スマート賃貸火災保険」(SOMPOグループ)
- チューリッヒ少額短期保険「ミニケア賃貸保険」
どれもネットで申し込みが完結して、保険料も年間3,500円前後からと良心的。正直どれを選んでも管理会社の保険よりは安くなる。
その中で何を基準に選ぶか。私が重視したのは保険料と補償のバランスだった。
火災保険の補償でとくに大事だと言われているのが「借家人賠償責任」というもので、これは火事や水漏れで部屋を傷つけてしまったときに、大家さんへの賠償をカバーしてくれる補償のこと。
賃貸の場合、退去時には部屋を元の状態に戻して返す義務があるから、もし自分の不注意で部屋をダメにしてしまったら、その修復費用を大家さんに払わなければならない。
それを肩代わりしてくれるのがこの補償。
実は申し込みボタンを押すまで、私はこの「借家人賠償」という言葉の意味をちゃんとわかっていなかった。2,000万円とか1,000万円とか書かれていてもピンとこない。ただ、なんとなく数字が大きいほうが安心だよな、という程度の理解だった。
日新火災はこの借家人賠償が2,000万円。他社より手厚い数字だ。家財の補償額も幅広く設定できるし、個人賠償責任もついている。それでいて保険料は安い部類に入る。
あれこれ細かく比較したというより、「値段と補償のバランスが一番いいのはこれだな」と直感的に思えたのが日新火災だった。というわけで、日新火災「お部屋を借りるときの保険」にした。
手続きは15分くらい
申し込みはネットで完結。
想像していたけど拍子抜けするほどあっさりだった。住所や名前、物件の情報、補償の内容を選ぶくらいで、特別な書類も要らない。
唯一、少し迷ったのが家財保険の金額設定だった。
家財保険とは、部屋の中にある自分の荷物に対する補償で、火事や水漏れで家具や家電がダメになったときにその分を補償してくれる。問題はこれをいくらに設定すればいいのか、ということ。
調べてみると「家の中のものを全部買い直すとしたらいくらか」で考えるといい、ということだった。そう言われて、自分の部屋を見回してみる。一人暮らしで、家具も家電も最低限しかない。テレビ、冷蔵庫、洗濯機、あとは布団とちょっとした家具くらい。これを全部買い直しても…、まあ大した額にはならないなと思った。
結局100万円で設定しておいた。独身の中年男の部屋なんてそんなもんだ、なんの価値もないw。むしろこれ以上の補償をつけても保険料が無駄に上がるだけだろう。
そんなこんなで、トータルの手続き時間は15分ほど。あっという間に終わった。契約が済むと保険証券はPDFですぐに確認できた。後日、ハガキか書面が郵送されてくるらしい。
「これだけ?」というのが正直な感想だった。12年も放置していたものが15分で片付いてしまった。
気になっていたのは解約の電話だった

実を言うと、今回の見直しで一番気になっていたのは、保険そのものより今入っている保険会社への解約連絡だった。
しつこく引き止められるんじゃないか。「なぜ解約するのか」「今のままのほうがお得ですよ」と営業されて、なかなか電話を切らせてもらえないんじゃないか。別に気にせず解約すればいいんだが、そういうやりとりをするのが少し面倒だなぁとは思っていた。
今の保険会社からは、更新の2ヶ月くらい前に更新書類が送られてきて、そのあと数日して更新の案内の電話がかかってきた。来たな、と身構えて電話に出る。
ところが、電話口の担当者はあっさりしたもので「今回は更新せず解約します」と伝えると、「そうですか、よろしければ理由をお聞かせいただけますか」と聞かれた。
「値段ですね」と答えたら、「あー、そうですか、承知しました」それで終わり。すんなり電話は切れた。
えっ、終わり??ちょっと物足りない感じもしてしもた。
もしかして担当が営業に向いていない人で、後で上司から怒られているかもしれない、などと心配してしまった。
たぶん、こういう「解約の電話が面倒」という気持ちが、見直しをためらわせる一番の壁なんだと思う。でも実際はこんなものだった。担当者も無理に引き止めても仕方ないとわかっているのかもしれない。
おわりに|意味のないものにお金を払うのはやめよう

年間の差額だけ見れば、大きな金額ではないかもしれない。月に換算すれば数百円の話。
でも、金額の問題じゃなく、意味のないもの、よくわかっていないものにお金を払い続けるのはやめたほうがいい。乗り換えてみて気分がスッキリした。これが一番の収穫だったと思う。
12年間、何も考えずに払ってきた自分を責める気持ちもあるが、気づいたときが見直しどき。遅すぎることはない。
もし賃貸に住んでいて、火災保険を一度も自分で見直したことがないなら、一度だけでいいから調べてみてほしい。手続きはすぐに終わる。解約の電話も思っているほどではなくあっさり終わる。
たかが火災保険、されど火災保険。小さな見直しだけど終わってみると意外と気分が良くなる。
なお、日新火災の公式サイトによると、賃貸物件によっては「借家人賠償責任の保険金額が2,000万円以上でなければならない」「保険期間は2年間でなければならない」といった条件があったり、不動産会社へ契約後の保険証券の提出が必須なケースもあるから事前に確認しておいたほうがよい、とのことでした。


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