生命保険を23年間契約し続けてがんになった体験談|実際の保険料と給付額

お金

23年間、毎月平均1万3000円を保険料として払い続けた。

きっかけは職場に出入りする保険の営業の人で、当時、保険のことにはまったく興味がなかった。
でも営業の人がなかなかしつこくて、だんだん応対するのがめんどくさくなって、内容もほとんど確認しないままサインした。がん保険付きの生命保険だった。

そのときは「社会人になったら生命保険に入るものだろうな」くらいに思っていました。
でも今から考えると、結婚もしていない当時の自分に死亡保険は不要だった。その他の細かい特約など、自分の年齢や公的保険の保障内容などをまったく考えずに、ただ営業の人に言われるままに契約していた。無駄なお金を払っていたなというのが、今となっての正直な感想。

それから月日が流れ、49歳で直腸がんが見つかった。「もしものとき」がやってきた。

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保険は機能して給付金も無事に受け取れた。
でも手術から1年半が経ったころ、ふと思った。

「自分は本当に必要な保険を選べていたのか」

そしてもうひとつの気持ちも出てきた。

「保険会社、ボロ儲けやな」

比較的若い年齢でがんになって、最新のロボット支援下手術を受けて、2週間入院して、その後2年間通院し続けた。
それだけのことが起きても、受け取った給付金は払い込んだ保険料に及ばない。
もちろん保険はそういう仕組みで損得で考えるものではないとわかっている。
でも、実際にがんになった当事者としてはそう思わずにはいられなかった。

23年間で支払った保険料約360万円・受け取った給付金約190万円

月1万3,000円 × 23年間の収支表

数字を整理してみる。

月平均1万3000円 × 12ヶ月 × 23年 = 約360万円。これが払い込んだ保険料の総額。

一方、実際に受け取った給付金はこうなった。

  • がん確定診断の一時金等:110万円
  • 入院・手術費用の給付:約68万円
  • 術後2年間の通院給付:約12万円
  • 合計:約190万円

そして実際の治療費の自己負担はというと、手術・入院・通院すべて合わせて約30万円でした。

保険料・給付金・治療費金額
払い込んだ保険料(23年)約360万円
受け取った給付金約190万円
実際の治療費(自己負担)約30万円
差し引き約マイナス200万円
保険料と給付金の収支イメージ

差し引きマイナス約200万円、でも後悔していない理由


数字だけ見れば、約200万円のマイナス。

ただ、これは結果論だと思ってる。
私のがんは運よく転移がなく治療費が少なく済んだこともあるし、もしそれ以外に後遺症の残るような大きな病気にかかっていたら、この保険はすごく役に立っていたかもしれない。
保険とはそういうものだし、払い続けたこと自体を後悔しているわけではない。

ただ、ひとつだけ失敗したと思っていることがある。

何も考えず営業の人に言われるままに契約したこと。

それだけ。

がんの手術・2週間入院で自己負担10万円以内で済んだ理由|高額療養費制度とは

健康保険証と診察券のイメージ

高額療養費制度とは、月の自己負担に上限がある国の制度

告知を受けてから、お金のことをいろいろ調べた。
手術前に会社の上司から「高額療養費制度の手続きをしておく」と言われたのがきっかけです。

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される(払わなくてもよい)国の制度で、収入によって異なるが一般的な収入であれば月の自己負担の上限はおよそ8万円+αになる。

手術した月の自己負担が10万円以内に収まった

実際、自分の手術・入院費用もこの制度のおかげで手術した月の自己負担は10万円以内に収まった。
直腸がんで、最新のロボット支援下手術を受けて、2週間入院して10万円かからない。
国の健康保険に加入していなければ実費で200万円くらいかかると思う(この金額は雑に調べたのであまり信頼しないで)。
この事実を知ったとき驚いた。
「民間の保険でそこまで手厚くカバーしなくてもよかったんじゃないか」という気持ちが出てきた。
もちろん手術前の精密検査の費用や、術後の通院費用はこの制度の対象外になる月もある。
でも、少なくとも、一番費用がかかる入院・手術のタイミングで生活が破綻するような事態にはならないことがわかった。

この制度を知っていたら保険の選び方が変わっていた

高額療養費制度を知っていたら、もっとシンプルな保険で十分だったと思う。
若いうちにこの制度を理解した上で保険を選ぶのと、知らないまま営業の人に勧められるままに選ぶのとではまったく違う判断になる。これは本当にそう思う。

がん確定後に保険を見直した結果、月1,100円になった

シンプルなデスクと保険見直しのイメージ

20年以上払い続けた保険へ疑問を持ったきっかけ

手術から1年半が経ったころ保険の見直しを考えた。
手術後の痛みや後遺症が落ち着くにつれ、少し気持ちに余裕が出てきたからだ。

きっかけは、手術・退院後の通院給付に疑問を持ったことで、私のがんの場合、術後の経過観察は5年間続く。でも保険の通院給付が出るのは2年間だけだった。
「なんで5年通わなあかんのに、2年で終わるんや、3年にも満たないし…」という不満が出てきた。
それ以前に、がんと確定してからの追加の精密検査費用が給付対象外だったことも、なんか腑に落ちなかった。「あの検査はがんの治療と一体的なものなのに、なんでこれが給付対象外やねんっ」て。

20年以上払い続けた保険に対して、だんだんと不信感が出てきた。
たぶん「重要事項説明書」からそういうことは読み取れるのだろうし、疑問に思えば営業の人に質問すればよい。それをサボって契約した自分が悪い。はい、そうです。

残した保険はたった2つ|削減できた理由

見直しの結果、今残している特約は以下の2つで月1,100円。

  • がん保障特約(再発・再度のがん診断で受け取れる一時金)
  • 重度疾病継続保障特約(急性心筋梗塞・脳卒中等になったときに受け取れる一時金)

以上。

死亡保障、入院ベッドの差額代オプション、その他細かい特約をすべて外した。
高額療養費制度があれば生活が破綻するレベルにはならないと判断したから。
数年後にはまた保険料が上がって3,000円近くになるらしいが、とりあえずすっきりした。

一度がんになった人が保険を継続するメリット

ちなみに、がん保障特約は残しておいてよかったと思っている。
すでにがんと診断されている人が新たにこの保険に加入しようとすると、保険料がかなり高くなるはずだが、長年継続して契約していたおかげで、保険料が安いまま維持できている。
少しだけ得した気分になれた。
まあ、23年間何も考えずに払い続けてきただけなんですが…。

月1万3,000円を保険ではなくNISAで積み立てていたら

360万円を積立投資に回した場合

今はいい時代になってます。

ネット証券で少額から積立投資ができる。NISAという非課税制度もある。
毎月の保険料を見直して、その分を積立投資に回すという選択肢が格段にやりやすくなってる。

もし月1万3000円を23年間積立投資に回していたら、どうなっていたか。
元本だけで360万円、運用益を含めれば何倍もの資産になっていた可能性が十分ある。
ただし、当時はネット証券も一般的でなかったし、今ほど投資という言葉も聞かなかった。
単純に比較してはいけないけど、それでも選択肢として知っておきたかったとは思う。

NISAつみたて投資アプリのイメージ

保険と投資は目的が違う

もちろん投資にはリスクがあるし、保険と投資は目的が違う。
短絡的に「保険をやめてNISAにしろ」と言いたいわけではないです。

ただ、保険料を払い続けることだけが将来への備えではないということは、もっと早く気づきたかった。
保険、積立投資、貯蓄。自分の状況に合わせてバランスよく組み合わせることが大事なんだと、がんになって初めて気づいた。

がん経験者が保険加入前に伝えたいこと

高額療養費制度を必ず理解してから検討する

国の制度で、月の医療費自己負担には上限がある。
国がすでに用意してくれているセーフティネットを知らないまま、民間の保険に頼るのはもったいない。まずこの制度を理解した上で、本当に必要な保障を考えてほしい。

独身・未婚なら死亡保険は基本不要

独身なのか、家族がいるのか、住宅ローンはあるのか。
営業の人に言われるがままではなく、自分の状況に合った保険を選ぶ。結婚していない若い時期に死亡保険は基本的に不要。

保険料の一部を資産形成(NISA・積立)に振り向ける

NISAや積立投資など、保険料の一部を資産形成に回す選択肢も真剣に考えてほしい。
たとえば毎月1万円を20年間、年利5%で積立投資に回した場合、元本240万円が約400万円以上になる計算(※あくまでシミュレーションです、投資には元本割れのリスクがあります)。
保険は「万が一のとき」のためのもの。資産形成は「生きているとき」のためのもの。
両方をバランスよく考えることが本当の意味での将来への備えだと思う。

まとめ|「言われるがまま」の保険契約で後悔しないように

保険は悪いものではないです。
でも「なんとなく入っておけば安心」という時代は終わったと思う。
23年間、何も考えずに払い続けて、がんになってようやく気づいた自分が言うのだから、同じ後悔をしてほしくない。
生命保険を契約する際は以下を意識してください。

  • 高額療養費制度を知った上で保険を選ぶだけで、選択肢はまったく変わる
  • 独身時代の死亡保険は基本的に不要、その他の特約もよく確認する
  • 保険の見直しは、いつからでも遅くない
  • 保険と同時に資産形成についても真剣に考える

その人の状況によっては契約しないという選択肢も十分ありかと思います。

この記事は私個人の体験をもとにした内容です。保険・投資の選択は個人の状況によって異なります。保険契約や見直しなどは専門家への相談もご検討ください。

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