宮古島マラソン②|ひとり観光とひとり居酒屋

マラソン

前回は、友人が直前でキャンセルになって完全一人旅行になった経緯を書きました。

戸惑いはあったものの「行かない」という選択肢はなし。逆に長年の課題である「一人居酒屋ができるチャンス」という思考で出発したおっさんの話、今回はその続きです。

飛行機の窓から見えた海

宮古島空港に近づいてきたころ、何度も窓の外を見ていました。

やっぱすごいな。

青というか、緑というか。なんというか、バスクリンを入れたような。あれと同じような色が地平線まで広がっている。
「そうそう、沖縄はこれやな」とひとりで心の中でテンションが上がった。

上空からでも建物や畑がハッキリ見えて、11月なのに明らかに暖かそうな島の雰囲気。

着陸して飛行機を降りるときは一人なので焦って降りる必要もない。
周りが立ち上がってごそごそしているのを横目に、ゆっくり待って最後の方で降りた。
これが全て自分のペースですすめられる一人旅の良いところだと思ってる。

空港周辺を歩いてレンタカーを借りる

到着してまずやることはレンタカーの受け取り。ただ予約時間まで30分以上ある。

「じゃあ先に沖縄そばでも食おう」と空港内のそば屋へ向かった。
A&Wという沖縄バーガーチェーンも目に入ったけど、最初は沖縄そばと決めていた。
なんか自分の中ではそうしないといけないような気になっている。

そばを食べているとスマホに着信があった。レンタカー屋からだった。

「どこいますか?迎えに来ています」

そうかなと思っていたけど……やっぱり迎えに来てくれるシステムだったらしい。
営業所が空港の近くなので「あ、すみません、あとで歩いて行きます」と伝えて電話を切る。

食べ終えて外に出るとなかなか暑い。11月なのに。
そして空港周辺を歩いている人間がいない。車ばっかり。
その横を自分だけが厚めの上着を手に持って暑い中を汗かいて歩いているという、なかなか間抜けな状況だった。
まあいいんですよ、こんなの恥ずかしいともなんとも思わないから。

無事に車を借りていよいよ出発。本来は空港で友人と合流しているはずだった。

「ああ、一人やな〜」と、改めて実感した瞬間でした。

伊良部大橋を渡る│これだけで来た価値があった

レンタカーを走らせて向かったのは下地島にあるマラソンの受付会場。
その途中に伊良部大橋がある。

全長3,540メートル、無料で渡れる橋としては日本最長らしい。事前にそう知っていたので、ここだけはちょっと楽しみにしていた。

実際に橋に差し掛かると、両側が一気に海になった。

バスクリン色の海が、右も左も、どこまでも続いている。橋の上を走っているというより、海の上をそのまま走っているような感覚(それは言い過ぎかもしれないが)。
飛行機の窓から見下ろしていた海が今度は目の高さにある。高さもなく、遮るものもなく、ただ海だけがある。

「おお、なんか感動」
いろいろあったけど、ちゃんとこうして伊良部大橋を体験できてる、ええなあ。

ただ「すごいな〜」という感動が、頭の中だけで完結してしまう。誰かに言いたい。でも言う相手がいない。
LINEで写真を送ったところで、リアルタイムで隣で見ている感動とは別物だ。
景色がよければよいほど誰かと共有したくなる。これは今回の旅でずっとついてまわった感覚だった。

受付を済ませたあと、ぐるっと島を回ってみる

マラソンの受付はすぐ済んだ。済んだあとにやることが特にない。
友人がいれば「次どこ行こか」という話になるんやろうけど、一人だとそれがない。
案内看板を読んで、会場をぐるっと一周して「まあ会場はもうええか」となった。

受付会場で出迎えてくれたキャラクター。名前は聞きそびれた

でも、せっかく伊良部島に来たので、受付のあと車でぐるっと島を回ってみることにした。

暖かいし、静かで、とにかく平和だった。どこで車を止めて海を見ても絶景である。
観光スポットに立ち寄りながら海を眺めていると、なんか落ち着く。
それと同時にちょっとした寂しさも。
観光客がチラホラいる、カップルやグループが多い、一人でぼーっとしているおっさんは自分だけだったかも。

20代後半以来の宮古島なので、あのころと比べながら走っていた。
当時は伊良部大橋がなかったから、伊良部島へは船で渡っていたはずだ。
あれから20年以上も経って、今は橋が架かって車で来られる。島は変わったところと変わっていないところがある。自分もそうかもしれん。

ぼーっとそういうことを考えながら、海の見える道を走った。

こんな時間も必要やなと思った(なんか一人で来て思考がだいぶイキってました)。

ふと、沖縄の友人が以前言っていたことを思い出した。観光客が離島に来て「何もないなぁ」と言うのを聞いたとき、その友人はこう言っていた。

「あたりまえだよ、何か求めるなら離島に来たらダメだよ」

都会から来た人間が「何もない」と感じるのは、旅行に来たら何かをしないといけないと思いこんでいるからなんだろう。
別に何もしなくていいんですよ。

50代になって離島を一人でぼーっとドライブしながらそういうことを考えていました。

人生初の一人居酒屋へ

ホテルにチェックインして夕方になった。

いよいよ宮古島の夜、そして一人居酒屋への初挑戦である。

繁華街へ出て、スマホで調べた店のあたりをぶらぶらしながら、店の中を通りがかるようにして外から観察していく。
ネットの記事を書いている人は「量が少なくて一人客にうれしい!」「店員さんがすごくフレンドリー!」とか慣れた感じで書いてるけど、私にとってはなかなかのハードルです。もともと内向的な人間なので。

全くお客がいない店は一人で入ると変に目立つ。混雑しすぎていると場違いな客になりそうで怖い。そういうことをぐるぐる考えながら繁華街を歩き回ること約1時間。

1時間である。

普段、仕事中の昼ご飯はなんのためたいもなく一人で店に入るのに、この居酒屋に対する緊張はなんなんだろうか?
居酒屋を探して繁華街を1時間うろうろしているおっさんというのは、客観的に見てだいぶ怪しい。でも仕方ない。入れる店を見極めるのにそれだけかかったのだから。

頭の中では「店員さんとか他のお客さんは、一人客なんて別に何とも思っていない」とわかっている。わかっているけどなんか気にしてしまう。

そして10軒ほど外から眺めて「ここならいけそう」と思った店に飛び込んだ。
入口近くのカウンター席に通された。

そしてビールを2杯、料理を3皿ほど頼んで、1時間もたたないうちに退店した。

理由はある。入口近くだったので人の出入りが多くて落ち着かない。そしてカウンターなので常に周囲がザワザワしている。あれは苦手な環境だった。もう少し奥の席だったら、もう少しゆっくりできたかもしれない……まあ、しゃーない、これが今の自分の実力なんです。

ただ、これは言っておきたい。

これが私の、人生初の一人居酒屋である。

1時間のさまよいも込みで立派な初挑戦だと思っている。短くても落ち着かなくても、やったことに変わりはない。
「明日もある、明日は大丈夫」と頭の中で唱えながらホテルへ帰った。ヘタレなりにちゃんと挑戦した夜だった。

そして翌朝、いよいよ本番を迎える。

次回は、マラソン本番です。
17ENDの景色と、15キロ過ぎからの地獄と、ゴール後に思ったことを書きます。

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